ようこそ、梅仕事沼へ! 私も毎年、梅が市場に出回る季節になると血が騒ぐ、生粋の梅仕事愛好家です。
手塩にかけて漬け込んだ梅シロップ。
ある日ふと見たら、白いふわふわしたものが浮いている……これ、カビ!?
と、不安になってこのページにたどり着いた方もいるのではないでしょうか。
分かります、その気持ち。
私も初めて見た時は心臓が止まるかと思いましたよ。
でも、安心してください。
その白い浮遊物、実はほとんどの場合、カビじゃないことが多いんです。
今回のブログ記事では、そんなドキッとする瞬間から、万が一の事態への対処法、そして来年こそは完璧な梅シロップを作るための秘訣まで、私の経験を交えながらじっくりお話ししていきますね。
梅シロップの作り方|白い浮遊物の正体、カビじゃないか気になるよね
梅シロップの表面に現れる白いモヤモヤ。
大抵の梅仕事ビギナーさんが「カビだ!」と勘違いしてしまう、その正体は、実は「産膜酵母(さんまくこうぼ)」という天然の酵母なんです。
この産膜酵母、空気中に普通に存在している酵母菌の一種で、梅シロップの糖分をエサにして元気いっぱいに増殖するんです。
液面に薄い膜を張ったり、白い泡や浮遊物として現れたりすることが多いですね。
私の経験上、瓶を揺するとスッと消えたり、細かくちぎれて沈んだりするようなら、まず産膜酵母だと思っていいでしょう。
匂いも、ツンとしたカビ臭さではなく、ほんのりアルコールのような、甘酸っぱいフルーティーな香りがするはずです。
でも、残念ながら、中には本当に危険なカビが潜んでいる可能性もゼロではありません。
「これは絶対アウト!」というカビの特徴も覚えておきましょう。
もし、フワフワ、モコモコと綿毛のような塊になっていたり、瓶の壁にも張り付いていたりしたら要注意です。
さらに、白いだけでなく、青や緑、黒、黄色といった斑点が見える場合。
そして、鼻を刺すようなツンとしたカビ臭や、シンナーのような化学的な異臭、生ごみのような不快な腐敗臭がしたら、これはもう迷わず捨てるべきです。
大切なのは、ちょっとでも「あれ?」と思ったら、安全を最優先すること。
せっかく作った梅シロップ、捨ててしまうのは本当に悲しいけれど、あなたの健康には代えられませんからね。
梅シロップの作り方|発酵しちゃった梅シロップ、どうする?
白い浮遊物の正体が産膜酵母だと分かれば、まだ諦める必要はありません。
私の梅シロップも、先月漬けたものが白い膜を張ってしまって、Google検索でこの産膜酵母の存在を知りました。
これがまた飲めるというんですから、驚きですよね。
まずは、白い浮遊物を見つけたら、かき回すのは絶対にやめましょう。
そっと清潔なスプーンや網じゃくしで、その白い膜を丁寧に取り除いてください。
次に、梅の実もいったん瓶から出して、ホワイトリカーか酢でサッと洗います。
洗った梅は、もう戻さなくても大丈夫です。
私の場合、この時点で梅のエキスがしっかり出ていれば、もう役目は果たしたと思い、ジャムなどに活用しています。
シロップは鍋に移し、沸騰させないように弱火でゆっくりと加熱します。
目安は60~70℃を10~15分程度保つこと。
グラグラ煮立ててしまうと梅の香りが飛んでしまうので、ゆっくりと、アクが出たら取り除きながら温めるのがコツです。
加熱が終わったら、風味を損なわないように鍋ごと氷水に当てて急冷します。
そして、梅シロップを戻す瓶も忘れずに消毒してくださいね。
熱湯消毒後、ホワイトリカーや酢で拭き取るのも効果的です。
冷めたシロップを消毒済みの瓶に戻し、お好みで酢を少し加えると、発酵を抑える効果も期待できます。
梅1kgに対して50ccくらいが目安です。
その後は冷蔵庫で保存し、時々瓶を優しく揺すって様子を見てあげましょう。
これで、安心して美味しい梅シロップが楽しめますよ。
もし、泡がブクブク出てきて瓶が膨らむようなら、蓋を少し緩めてガスを抜いてあげるのも忘れずに。
梅シロップの作り方|腐るとどうなる?
「白い浮遊物はカビじゃないことが多い」と言っても、残念ながら本当に腐ってしまうこともあります。
せっかくの梅シロップ、腐らせてしまうのは避けたいですよね。
腐敗のサインをしっかり見極めることが、食中毒を防ぐ上でとても重要です。
まず、見た目。
シロップ液から出た梅の表面にフワフワした白カビが生えたり、液中に青カビや黒カビ、赤カビが確認されたら、これはもうアウトです。
特に、白いものが綿毛のように立体的な塊になっていたり、瓶の壁に広がるように張り付いていたりしたら、カビの可能性が高いでしょう。
次に、臭い。
鼻にツンとくる腐敗臭や、シンナーのような異臭、生ごみのような不快な臭いがしたら、飲むのは危険です。
カビが生えている場合は、もちろんカビ臭さも感じるでしょう。
そして、味。
万が一、口に含んでみて、いつもの甘酸っぱい梅シロップとは違う、苦味や変な味がしたら、すぐに吐き出してうがいをしてください。
私も一度、経験がありますが、本当にゾッとしました。
これらの異変を感じたら、その梅シロップは雑菌が繁殖し、食中毒の原因になる可能性が高いので、迷わず廃棄しましょう。
目に見える部分だけカビを取り除いても、目に見えない菌糸がシロップ全体に広がっていることがほとんどですし、熱を加えても分解されないカビ毒を産生している場合もあるからです。
梅シロップの作り方|来年こそ失敗なし!カビ対策
「梅仕事は奥が深いなぁ」と毎年感じるのですが、やっぱり失敗は避けたいですよね。
来年こそは、白い浮遊物どころか、一切のトラブルなしで完璧な梅シロップを完成させたい!
そんなあなたの熱い思いに応えるべく、カビを防ぐための私の「黄金ルール」をご紹介します。
まず、何よりも大切なのが、使う道具の徹底消毒です。
瓶や、梅のヘタを取る竹串、シロップを混ぜる菜箸、すべてが対象ですよ。
「きれいに洗ったから大丈夫」なんて思ってはダメです。
目に見えない雑菌こそが、失敗の元凶ですからね。
私は大きな鍋で瓶を水から入れて煮沸消毒し、沸騰後5~10分グラグラ煮込んでいます。
取り出すときは清潔なトングを使い、清潔な布巾の上で逆さにして自然乾燥。
乾ききったら、食品にも使えるアルコールスプレーをシュッとひと吹きし、キッチンペーパーで拭き上げるとさらに安心です。
次に、梅の下処理を丁寧に行うこと。
購入する梅は、傷や黒い斑点がない、ハリのある新鮮なものを選びましょう。
そして、梅を洗った後の水気取りが肝心です。
一粒一粒、キッチンペーパーで丁寧に、もうこれ以上水気がない! というくらいゴシゴシ優しく拭き取ります。
このひと手間が、カビの発生リスクを劇的に減らしてくれるんですよ。
ヘタも竹串で丁寧に取り除いてくださいね。
ヘタの周りは汚れや雑菌が溜まりやすいんです。
そして、砂糖の分量と混ぜ方。
健康を意識して砂糖を減らしたくなる気持ちも分かりますが、梅シロップにおいては「梅:氷砂糖=1:1」が基本中の基本です。
砂糖には雑菌の繁殖を抑える天然の保存料としての役割がありますから、ここをケチると失敗しやすくなります。
私のおすすめはやっぱり氷砂糖。
ゆっくり溶けるので梅からエキスがじっくり抽出されて、梅がシワシワになりにくい気がします。
仕込み後、氷砂糖が完全に溶けきるまでは、毎日1~2回、優しく瓶を揺すってシロップと砂糖をよく混ぜ合わせましょう。
こうすることで、砂糖が底に固まるのを防ぎ、全体に均一な糖度を保てますし、何より梅がシロップから顔を出してカビるのを防ぐことができます。
最後に、保管場所の工夫も忘れてはいけません。
酵母の異常発酵を防ぐため、直射日光が当たらず、温度変化の少ない涼しい場所、いわゆる「冷暗所」が最適です。
夏場の暑い時期は特に、25℃~35℃くらいの温度帯で酵母が活発になりますから注意が必要です。
そして、梅がシワシワになって砂糖が完全に溶けきったら、完成のサインです。
梅の実を取り出して、シロップは必ず冷蔵庫で保存するようにしてくださいね。
低温で保存することで、発酵の進みを抑え、美味しい梅シロップを長く楽しむことができます。
ちなみに、冷凍梅を使うと繊維が壊れてエキスが出やすくなるので、早く作りたい方にはおすすめです。
まとめ
梅仕事は、まるで子育てのよう。
手をかけ、目をかけ、愛情を注ぐほど、美味しい恵みを与えてくれます。
今年の梅シロップも、皆さんの食卓に笑顔を運んでくれることを願っています!