タコピーの原罪wiki考察｜チャッピーは生きてる？死亡？どうなる？

『タコピーの原罪』を語る上で、忘れちゃいけない大切な存在がいますよね。

そう、しずかちゃんにとって唯一の心の拠り所だった愛犬、チャッピーです。

あの可愛らしいタコ型宇宙人タコピーが地球に降り立ち、しずかちゃんをハッピーにしようと奮闘する物語の裏で、チャッピーが果たした役割は計り知れません。

今回は、そんなチャッピーの物語を深掘りしていきたいと思います。

タコピーの原罪｜チャッピーは久世しずかの心の拠り所

『タコピーの原罪』を読んだ方なら、きっとしずかちゃんがチャッピーにだけ見せる笑顔が忘れられないのではないでしょうか。

学校でいじめられ、家では母親にネグレクトされているしずかちゃんにとって、チャッピーはただの飼い犬ではありませんでした。

彼は、荒れ果てた日常の中で、しずかちゃんが唯一心を許し、年相応の可愛らしい表情を見せることができた存在だったんです。

「チャッピーがいれば私は大丈夫。

他には何もいらないんだ」。

彼女のこの言葉は、チャッピーがどれほど大きな心の支えだったかを物語っていますよね。

彼がいたからこそ、しずかちゃんはどんなにつらくても耐えられた。

そんな希望の象徴が、チャッピーだったんです。

しかし、そんなチャッピーに、あの悲劇が降りかかってしまいます。

物語の序盤で、いじめの主犯格であるまりなちゃんが、チャッピーを標的にしたんです。

まりなちゃんの父親がしずかちゃんの母親に入れ込んでいることを逆恨みし、その憎しみをしずかちゃんにぶつけていたまりなちゃんは、チャッピーにわざと噛みつかせ、保健所に連れて行かれるように仕向けてしまいます。

タコピーがハッピーカメラで時間を巻き戻し、何度もチャッピーを救おうと試みるのですが、まりなちゃんの執念は凄まじく、どんなにルートを変えても必ずチャッピーはまりなちゃんに狙われ、結局いなくなってしまいます。

このチャッピーの悲劇は、しずかちゃんに深い絶望を与え、彼女が自ら命を絶つ選択をするきっかけとなってしまいました。

純粋な善意を持つタコピーの行動が、人間社会の複雑な闇や憎しみとぶつかり、かえって状況を悪化させてしまうという、この作品の残酷な現実を突きつけられた瞬間でしたね。

チャッピーの運命は、『タコピーの原罪』という作品の根底にあるテーマ、「原罪」の概念にも深く関わっています。

「原罪」とは、生まれながらにして背負っている罪という意味ですが、この物語では、いじめや家庭崩壊といった社会構造的な問題が子どもたちに与える、避けられない苦しみを象徴しているようにも読み取れます。

チャッピーの悲劇は、タコピーの「善意」が必ずしも「救い」に繋がらない現実、そして「時間を巻き戻しても根本的な問題は解決しない」という、厳しいメッセージを私たちに伝えてきました。

どれだけ頑張っても、報われないこともある。

そんな重苦しい雰囲気が、チャッピーの運命を通してひしひしと伝わってきましたよね。

チャッピー希望を繋ぐチャッピーの「その後」

しかし、物語の最終盤、タコピーの自己犠牲によって新たな時間軸の世界が再構築されたとき、私たちを救うような光景が描かれました。

最終話の扉絵や本編のいくつかのシーンで、なんとチャッピーがしずかちゃんと一緒に、元気な姿で登場するんです。

これは、タコピーの命をかけた最後のタイムリープが、子どもたちに「ハッピーな未来」をもたらしたことの、何よりの証だと思います。

タコピーの記憶は消えてしまっても、その「存在の痕跡」が、しずかちゃんとまりなちゃんという、かつて憎み合っていた二人の間に「対話の芽」を生み出しました。

そして、彼女たちが冗談を言い合えるほどの友達へと成長した未来の中で、チャッピーもまた生き続けている。

チャッピーの生存は、憎しみや絶望の連鎖が断ち切られ、新たな関係性や希望が生まれる可能性を示唆しているんです。

チャッピーの物語は、『タコピーの原罪』が最終的に私たちに伝えたかった「おはなし」の重要性とも深く結びついています。

タコピーは、道具を使って一方的に「ハッピー」を与えようとしましたが、それが裏目に出るばかりでした。

しかし、チャッピーの命が救われた世界では、しずかちゃんとまりなちゃんが、タコピーの残した「おはなしがハッピーをうむんだっピ」という言葉をきっかけに、互いに関係性を再構築していきます。

チャッピーの存在は、登場人物たちの孤独な心を癒やし、言葉と関係性がいかに人を変えるかという、この作品の切実なメッセージを、その小さな命で力強く示してくれたのではないでしょうか。

彼がそこにいることが、しずかちゃんや、私たち読者に、未来への希望をそっと灯してくれた。

そんな風に感じています。