日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」を深掘り!
秋ドラマの中で、僕の心を最も強く揺さぶったのが、TBS日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』です。
血統、家族、継承??単なる競馬ドラマの枠を超えた、骨太な人間ドラマが展開されています。
※ネタバレ注意
■目次
- ザ・ロイヤルファミリーwiki|ストーリー解説
- ザ・ロイヤルファミリー|登場人物の相関図
- ザ・ロイヤルファミリー|実話がモデル?元ネタは?
- ザ・ロイヤルファミリー|関口房朗が山王耕造のモデル?
- ザ・ロイヤルファミリー|見どころ
ザ・ロイヤルファミリーwiki|ストーリー解説
あらすじ:税理士とカリスマ馬主、20年の夢を追う壮大な物語
この物語の原点は、早見和真氏による同名小説にあります。
舞台は、「ロイヤル」 の冠名を掲げる競走馬を所有する名門馬主一族、山王家。
物語は、20年間にわたる彼らの栄光と崩壊、そして再生を、一人の男の視点を通して描いています。
その男こそ、妻夫木聡さんが演じる主人公、栗須栄治(くりす・えいじ)。
彼は、父を亡くし心に空虚さを抱える税理士でしたが、ある日、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の創業者でカリスマ的な馬主、山王耕造(さんのう・こうぞう)(佐藤浩市さん)と運命的な出会いを果たします。
耕造は周囲から孤立し、家族との関係も冷え切っているものの、中央競馬の最高峰、有馬記念を自らの馬で制するという熱狂的な夢を追い続けている男です。
栄治は、その夢に惹かれ、耕造の秘書として競馬という勝負の世界に足を踏み入れます。
物語は、栗須の元恋人が実家で育てた一頭の栗毛の牡馬 「ロイヤルホープ」 の登場をきっかけに、家族の絆、過去のトラウマ、そして静かなる戦いが交錯していきます。
これは、馬が走ることで、そこに託された人間の“勝利”ではなく、“再生”を描く、胸が熱くなる物語なのです。
ザ・ロイヤルファミリー|登場人物の相関図
登場人物:欲望と血が絡む相関図
このドラマの登場人物たちは、誰もが主役級の存在感を持っていて、その関係性がとにかく濃密です。
競馬の世界には「血統」という概念がありますが、山王家もまた「血と欲望」が脈々と受け継がれる一族の構図がベースになっています。
まず、この物語の王(ロイヤル)である山王耕造は、所有馬の冠名に「ロイヤル」を付けて一族を支配しようとする、まさしく「王国の創始者」的な存在です。
その耕造に付き従うのが、主人公の栗須栄治。彼は馬と家族、どちらも失った元騎手の経験を持つ男として再起をかけます(※ドラマ版の設定)。
山王家には、競馬嫌いの妻・京子(黒木瞳さん)、そして経営立て直しのために競馬事業部廃止を考える合理的な長男・優太郎(小泉孝太郎さん)がおり、耕造とは常に緊張関係にあります。
一方で、栗須の学生時代の元恋人である野崎加奈子(松本若菜さん)は、日高の生産牧場「野崎ファーム」で馬の育成に人生を賭けており、山王家とは馬という存在で深く結びついています。
さらに、山王家と火花を散らす宿命のライバル馬主として、GI勝利を多数持つ新興の有力馬主、椎名善弘(沢村一樹さん)が登場し、物語に強烈な緊張感を与えます。
そして、最も謎めいているのが、目黒蓮さんが演じる役名未公開の人物です。
彼は物語の後半で“鍵”を握る存在として登場が予定されており、ファンからは耕造の孫である中条耕一ではないかという予測も出ています。
人と馬、そして過去と現在が、目に見えない絆で繋がっているこの相関図こそが、物語の真実を解き明かすための「地図」になるはずです。
ザ・ロイヤルファミリー|実話がモデル?元ネタは?
実話がモデル?:フィクションだけどリアルな理由
Google検索で『ザ・ロイヤルファミリー』について調べると、「実話?」「モデルは?」というキーワードが必ず出てきますよね。
僕も最初、そのあまりに生々しい業界描写に「これ、本当にあった話なんじゃないか?」と疑いました。
結論からハッキリとお伝えしますと、このドラマは実話ではなく、完全なフィクションです。
原作である早見和真氏の小説も、特定の事件をモデルにしたものではありません。
ただ、この作品の凄いところは、フィクションでありながら「実話以上にリアル」だと感じさせるところにあります。
その理由は、原作者が5年間にわたり競馬関係者から話を伺い、徹底的な取材に基づいて物語のリアリティを構築したからです。
馬主はもちろん、調教師、騎手、牧場関係者まで、現場のディテールが緻密に描かれており、その描写の密度が、虚構と現実の境目を曖昧にしているのです。
たとえば、競馬界で重視される「血統の継承」や、馬主の死後、馬主資格と所有馬を次世代が受け継ぐ「相続馬主」といった制度が物語の根幹に流れていますが、これらは現実の競馬社会で重要な要素であり、その描写に説得力があります。
だからこそ、これは誰かの記録ではないけれど、競馬に人生を懸けた人々の「集合的記憶」を凝縮した、真実味あふれる物語として僕たちの心に響くのだと思います。
ザ・ロイヤルファミリー|関口房朗が山王耕造のモデル?
山王耕造のモデル:関口房朗ではなく“魂の集合体”
山王耕造という強烈なキャラクターを見ると、「誰かモデルがいるはずだ」と誰もが考えますよね。
特に、豪快な実業家であり馬主だった関口房朗さんや近藤利一さんといった方々の名前が、ネット上でも多く挙がっています。
しかし、作者の早見氏は「特定の馬主をモデルにしたわけではない」と明確に否定しています。
もちろん、関口房朗さんのような大物馬主の豪快なイメージが、読者に山王耕造を想起させている部分はあるでしょう。
ですが、耕造のキャラクターの核を作ったのは、複数の実在する人物から抽出された「信念」のエッセンスなのです。
まず、早見氏が執筆時にイメージした人物として名前を挙げたのが、元東京地検特捜部のエースと呼ばれた田中森一氏です。
田中氏自身は競馬関係者ではありませんが、早見氏は彼の「最後まで生き方を変えなかった」という強烈な生き様が、馬主という存在と不思議なほどリンクしたと感じたそうです。
そしてもう一人、冠名「メイショウ」で知られる日本競馬界の象徴的馬主、松本好雄氏の存在も欠かせません。
松本氏の逝去後、早見氏は「山王耕造のある点において強烈に松本オーナーが反映されている」と告白しており、馬と家族を繋ぐ松本氏の「人としての信念」が、耕造の骨格の一部となっているのです。
だから、山王耕造は関口房朗さんや松本好雄さんの“写し鏡”ではなく、彼ら多くのホースマンたちの情熱と孤独が結晶化した、フィクションの“王族”だと言えるでしょう。
ザ・ロイヤルファミリー|見どころ
ドラマの見どころ:血縁を超えた“継承”のテーマ
『ザ・ロイヤルファミリー』がなぜこれほどまでに話題を呼んでいるのかというと、それは単に豪華キャストやJRAの全面協力という派手な要素だけではないと、僕は考えています。
この物語の真の魅力は、血縁や血統を超えた「夢の継承」という、普遍的で重いテーマに正面から挑んでいる点にあります。
山王耕造が家族に「自分の夢」を背負わせようとする姿は、一歩間違えれば“エゴの押しつけ”であり「呪い」にも見えます。
でも、その裏には「俺の人生を否定しないでくれ」という、誰にも理解されなかった男の孤独な叫びが隠されているのです。
馬が走る姿を通して、誰かの人生を背負い、静かに戦い続ける者こそが、この物語における真の「ロイヤルファミリー」ではないか。
馬に、家族に、そして自分自身に「もう一歩前へ」と問いかける人々の姿は、観ている僕たち自身の人生の“スタートゲート”を静かに開いてくれるような気がします。
実話ではないけれど、あなたの心にはきっと“実話になる”。そんな、深く、熱い作品を、ぜひ一緒に最後まで追いかけましょう!
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。